人工林とは

日本の人工林


人工林概観
神奈川県足柄上郡の人工林

人工林とは、「森林の更生を人の手で行っている森林」のことで、人が管理をしなければ維持出来ない森林の事です。

人工林は大きく分けて、経済林と、里山林に分けられます。

今現在人工林は日本の森林面積の4割ほどを占めています。

 

現在の人工林は林業などの商業目的で利用されることが殆んどの為、その95%以上がスギやヒノキなどの針葉樹で形成されています。

人工林は管理を人の手で行いますので効率性が求められ、一度に同じ種類の樹木を大量に植えるということがよくあります。したがって人工林は同じ樹齢の木で構成されていることが多く、これを単層林と云います。

 

人工林の特徴


人工林内部
神奈川県足柄上郡の人工林内部

 人為的に植えられた針葉樹は、繁殖力は強いのですが、生育すべき場所としてふさわしくない環境条件に植栽された場合、根が深くまで届きません。

 針葉樹は寒冷地や土の少ない高地の山などが生息に適しており、日本の様な土の多い場所にはあまり適さないのです。

 

人為的に植えられた針葉樹の単層林の特徴として、樹木の上部が常緑の葉で完全に覆われるため、他の動植物が定着し辛く、環境にあまり良くないという点があります。

 

また、生育環境に合わない場所に植栽されたことが原因で花粉を通常より多くまき散らしてしまったり土砂災害を誘発してしまうという弊害もあります。つまり、人為的に針葉樹で構成された単層林は人の経済的な利益にはなっても生態系や安全性に関してはあまり良くない森林ということが出来ます。

 

反対に、里山林は人と自然の上手な関わり方の一例として近年世界的に広く取り上げられています。人の干渉によって、里山でしか見られない希少種などがみられ、人が手を入れながらも生物多様性の高い生態系として注目されているのです。

しかしながら、人のライフスタイルの変化から里山林の需要がなくなり、放棄されて荒廃した状態のままの場所が目立ち、問題となっています。

 

これら2つの人工林は、200年〜300年ほど放置すれば土地本来の安定した植生に回復することができます。しかし、シルワでは現在の私たちの生活や私たちの子供の住む環境として、生態系的が脆弱な状況を改善しないまま放置することは問題であると考えるため、短期的な生態系機能の復元を目指して、試行錯誤を繰り返しているのです。

 

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